Asarum muroense
多年生草本。根茎は短い。節間は短い。
葉は狭ハート形、小型、長/幅1.167(1.413±0.156)1.815、長さ28(54.087±13.872)98㎜,幅 24.0()55.0㎜、厚さ 0.266(0.365±0.066)0.591㎜、葉の縁はふつう平ら、基部は開く、先端は鈍頭;上面は緑色、無地模様か下がり藤模様、まれに亀甲模様、葉脈は少し没入、葉表面と葉の縁にまばらに多細胞の繊毛あり、表面は長さ 0.140(0.309±0.145)0.64mm、縁は長さ 0.185(0.426±0.145)0.769mm主、側脈に多細胞の繊毛の列あり、長さ 0.168(0.246±0.066)0.472mm、光沢なし、裏面は青白い緑色、無毛、葉脈はやや隆起し主脈のみ薄い赤紫色、側脈は菁白色、開花時の新葉下面の主脈には多数の繊毛あり。葉柄はふつう暗茶色、長さ 15(49.875±30.552)138mm、基部の直径1.184(1.759±0.316)2.554mm、溝に沿ってまばらに多細胞の繊毛あり、長さ 0.255(0.428±0.101)0.741mm。
花はふつう淡い赤紫色の地に暗赤紫色か赤褐色の斑点が多くあり、全体として赤紫色から赤褐色。単一花、腋生、地面に傾状;花柄は長さ 2.223 (6.422±4.585)19.579mm;萼筒は壺形、小型、長さ/幅 0.755(1.054±0.114)1.222、長さ 6.260(8.723±1.233)11.357㎜、幅 6.812(8.325±1.216)11.747mm、萼筒頸部は細くなる、頸/幅 0.712(0.821±0.057)0.949、口環を伴う、幅 0.822(1.472±0.501)3.163mm、口環は水平または下方に伸びる、ほぼ半数、口環角度は平均 76.166±19.856度、表面に単細胞の腺毛あり、開口部は狭い、直径1.337(2.379±0.755)4.313mm、開口/筒幅 0.178(0.283±0.066)0.4220、萼筒外面は花色と同じ、赤紫色の細点と目立つ筋あり、無毛、内面は暗赤紫色、目立つ格子状、縦と横の隆起を伴う、縦隆起は14(18.292±2.458)24、横隆起4(5.625±0.992)8、縦横比2.429(3.308±0.482)4.400、隆起に単細胞の腺毛あり、隆起の高さ0.400(0.612±0.143)0.881mm、萼筒の厚さ0.202(0.366±0.086)0.504mm。縁に三裂片;萼裂片は斜めに広がる、広三角形、長/幅0.550(0.750±0.074)0.921、長さ 2.920 (4.676±1.200)7.970mm、幅 4.549(6.244±1.599)10.092mm、裂片厚み0.368(0.607±0.143)0.891mm、表面の中央部は窪む、先端は尖る、上面の全面に単細胞の毛状体(腺毛)あり、下面は無毛、萼裂片は萼筒よりかなり短くほぼ2分の一、片長/筒長0.319(0.537±0.122)0.877。
雄蕊は12、6で二つの輪に、基部で離生、無柄、葯は外向きで直線状、内輪の長さ 1.368(1.925±0.376)3.010mm、外輪の長さ 1.051(1.634±0.343)2.689mm、内外比1.043(1.184±0.080)1.408、葯結合部に短い鈍頭の突起あり、花柱は6個、離生、直立、垂直;先端に短い角状の突出物をもつ、長さ0.193(0.597±0.209)1.197mm、突起の先端は分裂していない、開口部から出ない、花柱/筒高0.439(0.590±0.079)0.738、柱頭は楕円形、長さ 0.450(0.696±0.161)1.222mm、長さ/幅 0.958(1.395±0.239)2.127、外向き、垂直、子房は上位、胚珠の1室平均数(5.875±2.185)。
本種は近接地に分布するミハマカンアオイと多くの形質の特徴が似ており、又開花期が重なり合うことで同一種である可能性があると思われるが,分布域が離れている事と、開口部の口環の張り出しが水平であるものと、下方に向く個体群に分かれている事で、同定できなかった。口環の張り出しが下方に伸びている事では、近接地域のみに分布するカンアオイ種(ミハマカンアオイ、クシモトカンアオイ、ジュロウカンアオイ)と共通であるが、ミハマカンアオイ等にはない水平の張り出しを持つことでは、(クマノジカンアオイ、クキカンアオイ、アツミカンアオイ)と共通である。このような明白な差異を内部に持つ個体群を単一種として分類することはできません。さらに分布地周辺の調査により、水平の張り出しを持つ個体群の分離が可能かどうかの検討が必用と考えられます。
生物季節(Phenology):9~10月開花。
分布(Distribution):本州中部(三重県南部) 固有。
生育地(Habitat):常緑広葉樹林
葉模様