キワカンアオイ (仮称)

キワカンアオイ

ヒメカンアオイ種群

学名 : 無し

花期 : 6月~10月

分布 : 紀伊半島南部

     混合樹林内、渓流沿い、固有

 

多年生草本、根茎は短い

  葉はハート形から狭ハート形、長 / 0.9171.970、長さ3.49.2cm, 3.15.7cm厚さ 平均 0.448、やや厚い、葉の縁はふつう平ら、基部は開くかまたは重なる、先端は尖る;上面は緑色、無地から下がり藤模様、ふつう光沢なし、葉脈の窪みは弱い、葉表面と葉の縁にまばらに多細胞の繊毛あり、表面は長さ の列あり長さ 0.1471.288mm、平均0.328mm、縁は長さ 0.2281.448mm、平均 0.538mm、主、側脈に多細胞の繊毛0.1240.349mm、平均0.239mm;裏面は青白い緑色、無毛、葉脈はやや隆起し主脈と基部の側脈は薄い暗紫色, 無毛, 葉柄はふつう暗茶色、長さ 1893mm、平均51.412mm、基部の直径平均 1.918mm、溝に沿ってまばらに多細胞の繊毛あり、長さ 0.1350.805mm、新葉1、苞葉24

花はふつう薄い赤紫色の地に暗赤紫色の細点あり、全体では薄い赤紫色から茶色。単一花であるが、同株多花(23)もあり、腋生、地面に傾状花柄は長さ1.33816.418mm、平均3.982mm、;萼筒は球形から鐘状短筒形,長さ/ 0.678-1186,長さ 5.0278.768mm、平均 6.792㎜、幅 6.13910.369mm、平均 8.228㎜、萼筒頸部は括れる、頸 / 0.862、開口部は狭い、直径 1.5187.078mm平均 3.952mm、開口/筒幅 0.468口環を伴う、表面に凹凸と単細胞の腺毛あり、幅 0.5162.636mm、平均0.969mm、ほぼ水平に張り出す、口環角度は平均 100.108度、萼筒外面は萼裂片の色と同じかまたはより濃い、赤紫色の細点と同色の筋あり、無毛;内面は暗赤紫色、格子状の縦と横の隆起を伴う、縦隆起は1430 平均19.762、横隆起26 平均4.55隆起に単細胞の腺毛あり、隆起の高さ平均0.448mm、萼筒の厚さ平均 0.360mm

 縁に三裂片;萼裂片は斜め上方か水平に広がる、後に反る、広三角形から三角形、長 / 0.6321.277、長さ 3.41910.727mm、平均 6.989㎜、幅 4.862-13.026mm、平均 7.921㎜、表面は平ら、先端は尖る、縁に多細胞の短毛、表面に単細胞の腺毛あり、下面は無毛、萼裂片が萼筒より短い個体から長い個体まであり、萼長/筒長0.5102.021

 雄蕊は126で二つの輪に、基部で離生、無柄、葯は外向きで直線状、内輪の長さ 1.1752.218mm、平均1.624mm、外輪の長さ 0.7251.879mm、平均 1.342㎜、内外比1.210、葯結合部に鈍頭の突起あり、花糸は短い。花柱は6、離生、直立;先端に短い角状の突出物をもつ、長さ 0.3481.434mm、平均 0.711mm、突起の先端はふつう二裂しない、花柱の先端は開口部に達しない、花柱 / 筒高0.729、柱頭は楕円形、長さ平均 0.660mm、長さ/ 1.431、外向き、垂直、子房は中位、胚珠の1室平均数 5.593

解剖個体数60

  この種は、キナンカンアオイと葉と花の形質においてよく似ており、密接な関係を持っている。調査当初は、かつてキナンカンアオイの記載(木下、1990)の際に、キナンカンアオイの早咲きの個体群(「開花期は一般には10月であるが、しかし「大塔山(本宮町)では7月と8月に咲く・・・」とされたものと同じであると考えられた。

しかし解剖調査が進むと次のような特異な性質が明らかになった;①同じ生育地に(同じ個体群に)、6月下旬に咲く個体と、7月、8月、9月下旬に咲く個体が存在していた。②ふつうカンアオイ種は単一花(別れた根茎に一花)であるが、本種は多花(2-3花)が同じ根茎に付き、連続的に開花(例えば;第一花は6月に、第二花は8月上旬に、第三花は9月下旬に開花)する株も存在していた。したがって開花期は6月下旬から9月下旬までの3か月間の長期に亘り、カンアオイ種としては特異な生育特徴を持っていた。その上、③解剖調査した60個体のうち2個体に退化花弁が存在していた。

  これらから、キナンカンアオイの分類は再検討される。当面は6月下旬から9月下旬までの開花期を持つ個体群を分離して、キワカンアオイとして調査し記載する。本宮町産の個体群は再調査が必要であり、秋咲のキナンカンアオイも全域にわたる再調査が必要である。

 

 

 

 

 

キワカンアオイの花正面

花分解

キワカンアオイ葉模様

自生地

花床に太さ0.275mm、長さ1.875mmの退化花弁と思われる突起があります。(左写真)

この個体は退化花弁が1個だけですが、昨年別個体(右写真)でしたが退化花弁が3個有りました。

下の写真で黒っぽくて割ってある花は一年も残っているものです。